天照大神

10分でわかる日本の主宰神

天照大神は日本を代表する神様で、名前は誰でも聞いたことがあるでしょう。
でも意外とその素顔を知らないという人が多いもの。
そこで私、神道家の道幸龍現が天照様を知る10個のポイントを整理しました。

Point.1

天照は神々のリーダー的存在

天照大神は、有名な三重県の伊勢神宮・内宮の主祭神です。伊勢神宮は日本の神社のトップに君臨する神社。日本の神社8万社の最も上位とされる神社の主祭神が天照様ということは、天照様は日本の神々のリーダー的存在と言ってもいいでしょう。

伊勢神宮は日本の総鎮守で、ここだけで125柱の神様がおられます(神様は一柱、二柱と数えます)。天照様はこの125柱の中で最も大切な神様ですし、もともと日本の神々は「八百万(やおよろず)」。800万柱の神様がいると言われています。その膨大な数の神々の中でも特別な存在。それが天照大神なのです。

Point.2

天照は独り神

天照大神は独り神、つまり単独神で、結婚相手となる神様がいません。天照は女神とされていますので、ご主人がいないということになります。

日本の神々で、夫婦神はたくさんおられます。例えば天照様の父母神である伊邪那岐命(イザナギ)と伊邪那美命(イザナミ)も夫婦ですね。

他にも伊勢神宮がある伊勢国(今の三重県)で、一番格が上の神社、つまり伊勢国一宮(いちのみや)とされる「椿大神社」。(伊勢神宮はもう別格中の別格ですので、一宮とか二宮として分類されません)

この椿大神社の主祭神の猿田彦命(サルタヒコ)は男性神で、さらに神社の敷地内に「椿岸神社」という別宮があり、こちらは天之鈿女命(アメノウズメ)という女性神を祀っていて、この二柱の神も夫婦神です。

対して天照様は単独神。日本のトップの神社、伊勢神宮内宮の主祭神として、天照様もまた別格の存在。「夫婦でいる」という概念がないのでしょうね。

Profile

編者プロフィール

道幸龍現

(どうこう・りゅうげん)

1972年北海道生まれ。
ビジネスプロデューサー、神道家。十種神宝の実践会。物部神道管長

経営コンサルタントとして20年で年商3000億の大手商社をはじめ300社以上の企業を指導し、3000人以上の人々を成功に導く。

また、神道をはじめ日本の宗教を探求・研究。教派系神道教師の資格も取得。神仏をビジネスに活かすことを提案している。

毎年主催している「伊勢神宮ツアー」では、約300人で特別参拝。2021年はツアー開始10周年となる。2018年8月、義経神社全国崇敬会初代会長に就任。

作家として、『ビジネスエキスパートがこっそり力を借りている日本の神様』(サンマーク出版)の他、本名の「道幸武久」名義で10 万部超えのベストセラー『加速成功』(サンマーク出版)や、『壁を崩して橋を架ける』(集英社)など著書多数。他にも共著として『龍とつながる昇運CDブック』『願いが叶う! 最高の開運神社』があり、『大成功を呼ぶ「最強の開運神社」』では監修も担当。

Point.3

天照は全国で祀られている

東京・飯田橋に恋愛、縁結びの神社として有名な「東京大神宮」があります。ここの主祭神として天照大神が祀られています。この東京大神宮はじめ、天照様は全国の1万社を超える神社で祀られています。

ただ、同じ天照様を祀っていても、近所の神社の天照様より伊勢神宮の天照様に祈願した方が、ご利益がありそうなイメージがありますね。

実際、たくさんの人から「伊勢神宮まで行った方がいいでしょうか」と質問されます。

でも私は「ご利益は変わりません」と答えています。天照様に祈願するなら、伊勢神宮でも、あなたの近くで天照様を祀っている神社でも、ご利益は基本的に変わりません。

ただ、以前このような質問をされたことがあります。「伊勢神宮まで行って祈願したら仕事がうまくいきました。このようなとき、お礼参りに行った方がいいとよく聞きますが、お礼は近くの天照様を祀る神社でいいですか?」と。

私はすぐに「違います」と答えました。伊勢神宮でお願いして、それが叶えられたのなら、伊勢神宮までお礼をしに行った方がいいと私は考えます。

神道の世界には「~すべき」という決まりごとはありません。しかしお礼参りに関しては、祈願した神社へもう一度足を運ぶ方が感謝の気持ちや神様への誠意がしっかりと伝わりますし、またその次に参拝するときにも、神様に歓迎されるのではないでしょうか。

Point.4

天照は三貴神の長女

天照大神は「三貴神」と呼ばれる特別に尊い三柱の神々の長女神です。他の三貴神は月読命(ツキヨミ)と素戔男尊(スサノオ)です。この二柱は男性神と言われています。

三貴神は、日本の歴史書「古事記」ではイザナギが「黄泉国(よみのくに)」と呼ばれる死者の世界へ妻神・イザナミに会いに行き、戻って禊ぎをしたときに生まれたと書かれています。「日本書紀」ではイザナギとイザナミの夫婦神二柱で生んだとされ、日本書紀にはこの他にたくさんの別伝がありますが、共通しているのは、天照様が一番先に生まれて、天上界(高天原)を治める神になったということです。

なお、古事記ではツキヨミは夜の国、スサノオは海を治めるようイザナギに命じられます。ただしスサノオは後に出雲の国に降り立ちます。

ツキヨミは三貴神の中でも一番ミスティークな神様。伊勢神宮では外宮、内宮の両方で祀られていますが、全国的にはこの神を祀る神社は 100 社未満と少なく、情報もほとんどありません。なぜなのか?とても不思議な存在の神様です。

一番下の弟神、スサノオは暴れん坊で、天照様とケンカして高天原を追放されてしまいます。そこで出雲の地に降り立ち、ヤマタノオロチを退治して出雲を治めました。スサノオは出雲の須賀神社、和歌山県の熊野大社をはじめ、全国約 1 万3000 社の神社で祀られています。

Point.5

天照は高天原と地上の支配神

天照大神が治めたとされる「高天原」は、書籍によって読み方が異なり「タカマガハラ」や「タカマノハラ」とフリガナがふってあることが多いです。ただし私は漢字の読み方にしたがって「タカアマハラ」と呼んでいます。実際のところはどれでもいいとされています。

いずれにしても「高天原」は雲の上の世界、天の世界、神々の世界であり、天照様は父神・イザナギに命じられこの高天原を治めました。

これに対し、地上を治めていたのは出雲の神・大国主命(オオクニヌシ)。スサノオの子孫にあたる神様です。

天照様は、オオクニヌシが治めている大地を「あの豊かな地は私の子が治めるべき」として、神々を派遣してオオクニヌシから地上を取り上げてしまいました。

そして自分の孫の瓊瓊杵尊(ニニギ)を地上に降臨させ、治めさせました。天照は実質的に高天原と地上の両方を治める神となったのです。

Point.6

天照は若いころ巫女だった?

九州に幣立神宮という神社があります。幣立神宮の主祭神は
・神漏岐命(カムロギ)
・神漏美命(カムロミ)
・大宇宙大大和神(オオトノチオオカミ)
・天御中主命(アメノミナカヌシ)
・天照大神
です。

幣立神社の宮司さんの話では、この神社はなんと1万5千年前からあるそうで、事実なら日本最古の神社です。そして天照大神は若いころ、この神社の巫女をやっていたそうです。

日本の神々の代表ともいうべき天照様も、若いころは初々しく巫女をされていたのですね。ただ年を取るにしたがって支配神としての風格が出てきたのでしょう。

東京都知事の小池百合子さんは、若いころの写真を見ると可愛らしい雰囲気ですが、今は日本の首都・東京のトップとして強いリーダーシップを発揮されています。ちょっと似ているかもしれません。

Point.7

天照は「引きこもり」の元祖?

天照大神は、引きこもりの元祖です。弟神のスサノオがヤンキーみたいに暴れて、天照様は岩の扉の向こうに隠れてしまいました。これが「天岩戸(天石屋戸)」と呼ばれるエピソードです。

天照様が隠れて、太陽が昇らなくなってしまいましたので、八百万の神々は困ってしまいました。

困った神々は、天照様を外に出すためのプロジェクトを行いました。思金神(オモイカネ)が作戦を練り、これを天児屋命(アメノコヤネ)やアメノウズメ、天手力男神(タヂカラオ)などの神々が実行して天照様を引っぱり出しました。これを「岩戸開き」と言います。

私は、日本の主祭神ともいうべき天照様が引きこもってしまったというところに、日本神話のユニークさを感じます。天照様は、一般的には「最強の神様」のようなイメージかもしれませんが、実は弟に嫌気がさして引きこもる弱い一面を持っていました。

そんな天照様も他の神々の協力で外に出てきて、その後本当のリーダーとなられたのです。

Point.8

天照は卑弥呼?

3世紀の邪馬台国の女王・卑弥呼。歴史の授業で習いましたね。この卑弥呼が天照様のモデルという説があります。

卑弥呼が治めた邪馬台国。この国は九州にあったとか、奈良県だったとか、さらには東北の方だったとか、これもいろいろな説があって今も結論が出ていません。

卑弥呼はシャーマン、つまり神様や見えない存在を自分の体に降ろしてメッセージを伝える巫女でした。古代、政治と神事は重なっていましたので、巫女は重要な役割を担っていました。卑弥呼はシャーマンとしての能力が飛びぬけていて、やがて国の女王として君臨しました。

卑弥呼は女帝、国の女王で、天照様も高天原の女王。イメージが重なります。卑弥呼は元々巫女でしたし、天照様も若いころ幣立神宮の巫女だったという説があり、これも共通します。「卑弥呼 = 天照様のモデル」というのはありえると私も考えています。

ただ、このことについても答えは出ていません。日本の古代はまだまだ謎に満ちています。

Point.9

伊勢の天照は全国から人を呼ぶ

江戸時代に流行した「おかげ参り」。知人と一緒に伊勢神宮へ参拝するこのブームは、江戸時代に大きく3回起きたと言われていますが、最大のブームは文政13年(1830年)で、このときは427万人が参拝したそうです。当時の日本全体の人口が約3300万人でしたので、人口の12.9%が伊勢神宮を目指しました。

江戸時代ですので鉄道も車も飛行機もありません。駕籠はありましたが、ほとんどの人は徒歩で伊勢神宮を目指したそうです。名古屋からでも片道3日、大阪からだと5日、江戸からは15日もかかりますので、今みたいに日帰りや、1泊で行ってくるというわけにはいきません。それでも伊勢神宮を目指し、天照様へ「おかげ様」を伝えにいったのですね。

伊勢神宮には今も毎年多くの人が参拝しています。その人数は年間800万人超。しかし人口約1億2600万人で比率は6.3%ですので、江戸時代の方が伊勢に行く人の割合が高いのです。その差2倍以上!

江戸時代は庶民が藩をまたいで移動することが困難な時代でした。でもおかげ参りの通行手形があれば関所もすぐ通してもらえたそうで、こういうところもおかげ参りに人気が集まる理由の1つになりました。

こうして昔も今も天照様の鎮座される伊勢神宮は全国から人が集まる人気の場所ですが、外国人の参拝者数は意外と少なく、年間10万人程度です。

理由はまず、大阪や名古屋といった大都市から離れているという立地の問題が挙げられます。

また、海外の人は古い建物に価値を感じるようで、20年毎の式年遷宮に合わせてすべての社殿を新しくする伊勢神宮はあまり興味を持たれないようです。

日本人は歴史の古いものも大切にしますが、同時に常若(とこわか)、常に若く新しい状態を保つことにも価値を感じます。時間が経ったらリフレッシュする。この感覚が式年遷宮で社殿を新しくするという慣習にもつながっているのです。

ただし社殿を作り替えた後に出る大量の古い木材は、まだまだ使えます。この木材は、全国の神社の造営や修理のために再利用されていきます。

日本はかつて、物を大切にし、融通し合ったり再利用したりしながら社会を回していく「調和型循環経済」の国でした。この感覚も、天照様が鎮座される伊勢神宮の式年遷宮に生かされているのです。

※伊勢神宮のことは、神宮禰宜の吉川竜実氏の著書「いちばん大事な生き方は、伊勢神宮が教えてくれる」(サンマーク出版)がとても勉強になりますのでお勧めです。215ページに私のことが書かれています。

Point.10

天照は皇祖神

天照大神は天皇陛下の先祖に当たる神。つまり皇祖神です。

初代天皇とされる神武天皇は、天照様の5代後の子孫。天照様の孫が三種の神器を持って高天原から地上界へ降りてきた邇邇藝命(ニニギ)で、このニニギのひ孫が神武天皇です。

そして今上天皇 つまり今の天皇陛下は徳仁(なるひと)様で、第126代天皇になります。

天照大神という神の子孫が、今も日本の中心にいらっしゃるということ。これは日本がスピリチュアルな国であることを示しています。

三種の神器、つまり
・伊勢神宮にある八咫鏡(やたのかがみ)
・熱田神宮にある草薙剣(くさなぎのつるぎ)
・皇居の八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)

これら3つの神器を、先代の天皇から受け継いで即位し、在位中は民のために祈り、最後に血のつながりがあり次代の天皇として選ばれた者に渡すという伝統が今も残っているのです。その歴史は、古代から今年(西暦2020年)まで、なんと2680年も続いています。

ここまで長く神様の子孫が続いているという例は他にはありません。例えば、あなたはキリストの末裔は誰か知っていますか?ギリシャ神話の最高神ともいうべきゼウスの子孫って誰でしょう?どちらも、私は聞いたことがありません。

日本は、天照様の子孫として天皇陛下がおられ、その神脈が2680年も続く、世界一古い国なのです。

Conclude

天照様とつながり運気UP

ここまでの10のポイントを押さえると、天照大神について、かなり理解したことになります。ただ、理解しただけではもったいない!天照様とつながり運気を上げていきませんか。

その方法は、祝詞(のりと)です。

祝詞とは、神社の宮司さんが祈祷や祭祀のときに唱える特別な言葉。これにはいくつも種類がありますが、私がオススメなのが「六根清浄大祓(ろっこんしょうじょうのおおはらえ)」という祝詞と、「大祓詞(おおはらえことば)」の2つです。

六根清浄大祓は、自分自身のけがれを祓い、自分と天照様と一体化させる祝詞です。

神道では、私たち人間というのは、もともと天照様の分霊(わけみたま)であると考えます。

私たちは天照様の分霊。しかし日々の生活の中で私欲やネガティブな感情や悩みを持ち、心や魂がくもり、天照様とつながれなくなってしまうのです。

これら私欲や悩みの原因は目、耳、鼻、舌、身、意識の6器官(六根)から入ってくる情報。六根清浄大祓を唱えて六根をきれいにすると、心や魂もきれいになって天照様とつながります。そして運気が上がり、パワーアップしていきます。

もう一つの祝詞・大祓詞の方は、自分を超えて周りや社会をきれいにしていく祝詞です。

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大祓詞は6月30日の「夏越大祓」の祭祀の際、そして 12月31日の「年越大祓」の祭祀の際に神社の神官が唱えるもので、私の神道の先生の一人は「大祓詞ができると、もう神社で正式参拝する必要はない」と話されていました。それほど重要な祝詞なのです。

これらの祝詞を、今回このサイトを見てくださったあなたに無料プレゼントします。下のご案内を確認の上、ボタンをクリック(タップ)してLINE@登録してください。

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追伸

私は毎年6月に伊勢神宮ツアーを開催したり、「ビジネスエキスパートがこっそり力を借りている日本の神様」という本を出版したりと、神道や神社や神様について様々な形で発信をしています。ぜひこの本も調べて読んでみてください。

祝詞は天照様をはじめ神々とつながる非常に強力なパワーツールです。例えるなら、神社や神棚がWiFiスポットで、祝詞はそのパスワードのようなもの。パスワードがあると、通常より何倍も強く神々につながれます

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